海外進出101

ジョブ・ディスクリプションの記載内容と作成時3つのポイント


アメリカにて人材雇用する際に、Job Description (ジョブ・ディスクリプション)の作成が必須です。

そもそも、ジョブ・ディスクリプションとは、職務を遂行するうえで必要となるスキルや条件、責任範囲を明確にし、さらに、時間外手当の支給対象の有無や福利厚生の詳細を記載したもので、雇用主が従業員を雇用する際に提示する書類です。

「アメリカの採用にはジョブ・ディスクリプションが必要らしいが、何のことかわからない。」
「ジョブ・ディスクリプションに記載しておくべき項目は何か?」

本稿では、これらの質問に答えるために
ジョブ・ディスクリプションの概要、そもそもアメリカにてジョブ・ディスクリプションが一般化された背景、ジョブ・ディスクリプションのメリット、そして記載すべき内容とポイントをご紹介していきます。

そもそも、アメリカでジョブ・ディスクリプションが一般化された背景とは?

アメリカにてジョブ・ディスクリプションが一般化した背景には日本とアメリカの労働慣習の相違があると考えられています。

企業の採用や人材配置において、日本は「人」中心であり、アメリカは「組織」中心であるという違いです。

JDについて

日本の場合、社員は入社後、企業内で様々な部署をまわりながらトレーニングを受け、ジェネラリストに成長していきますが、アメリカでは、既存あるいは新規の組織図やポジションに対し、諸条件を満たす人材を採用、あるいはその業務をアウトソーシングして組織運営をします。

要するにアメリカではスペシャリストが求められており、そのためにジョブ・ディスクリプションが必要になってきます。


ジョブ・ディスクリプション作成の4つのメリット

以下ではジョブ・ディスクリプション作成の4つのメリットをご紹介します。

1. 採用のミスマッチを防ぐ


候補者に向けて具体的な職務内容・責任範囲を提示することによって、ミスマッチを防ぐことができ、採用コストを抑えることができます。

2. 従業員のモチベーションアップ


ジョブ・ディスクリプションを作成することによって、業務内容・評価方法・福利厚生が明確になり、従業員のモチベーションアップに繋がります。

3. 訴訟リスクの回避


ジョブ・ディスクリプションはポジションの役割を可視化することで差別的な問題を回避するという役割もあり、従業員を選んだ理由、ポジションがExempt(エグゼンプト)もしくはNon-exempt(ノンエグゼンプト)に振り分けられた理由を説明する際の証拠資料となります。

そのため、差別的もしくは不当な採用がなかったことを証明する重要な材料となり、会社を訴訟リスクから守ることに繋がります。

4. 論理的な組織運営


ジョブ・ディスクリプションを作成すると、給与体系や評価制度が明確になります。
このポジションの採用にはいくら投資する必要があり、どの程度のリターンを見込むべきかなど、計画や見通しが立てやすく、論理的に組織運営することができます。

ジョブ・ディスクリプションと人事サイクル


ジョブ・ディスクリプションの記述内容

ジョブ・ディスクリプションの主な記述内容としては次の通りです。

Job Descriptionの主な記述内容

  • ポジションのタイトル
  • 具体的な職務内容やそれぞれの業務の比重
  • 責任・権限の範囲
  • 期待される目標
  • 報告義務のある上司
  • 部下の数
  • 予算の枠
  • エグゼンプト(時間外手当支給対象外)、もしくはノン・エグゼンプトのどちらに分類されるか?
  • 職務に必要とされる知識、技術、学歴、資格など
  • 職務に必要とされる身体的条件
  • 業務における社内外の関係者
  • 契約書ではなく、「ビジネス上の変化に応じて変更する可能性がある」という但し書き
  • ジョブ・ディスクリプションを読んで、了承したことを証明する従業員の署名

効果的なジョブ・ディスクリプション作成時の3つのポイント

ここからはジョブ・ディスクリプション作成のポイントをご紹介していきます。

前提として、ジョブ・ディスクリプションは従業員とのミスコミュニケーションを防ぐためのツールです。ジョブ・ディスクリプションに書いてあることをやれば、評価されるという前提に立つ必要があります。

法務の観点から、絶対に作らないといけない書類というわけではありません。
しかし人事の観点から、ジョブ・ディスクリプションをしっかり作成することで、従業員とのミスコミュニケーションを防ぎ、離職防止やパフォーマンスアップに繋がる、とても重要な書類です。

以下のポイント3つを押さえて、効果的なジョブ・ディスクリプション作成に生かしてください。

1. 実際の職務内容とジョブ・ディクリプション記載の職務内容 (Job Duty)に乖離がないこと

一つ目のポイントは「職務内容とジョブディクリプション記載の職務内容 (Job Duty)に乖離がないこと」です。

実際の職務内容がジョブ・ディスクリプションの内容と逸脱してしまうと、従業員のモチベーション低下、そして早期離職に繋がります。

従業員側は、採用の際に提示されたジョブ・ディスクリプションを見て、自身のキャリアパスと照らし合わせて応募してきます。そこでジョブ・ディスクリプションの内容が大きく実務と異なると、ミスマッチが発生してしまうのがその理由です。

また、ジョブ・ディスクリプションの内容通りに評価した際に結果が出ているのに、
「空気が読めない」「勤務態度が悪い」など、ジョブ・ディスクリプションに書いていないことで評価を落として、減給したり、解雇してしまうと、訴訟に繋がるケースもありますので注意が必要です。

2. ジョブ・ディクリプションの内容は明確に、 ネットの無料テンプレートを転用するのはNG

アメリカの採用ではジョブ・ディスクリプションが必要らしいという理由で、なんとなくネット上で落ちている無料テンプレートを転用しているケースを目にします。

無料テンプレートを使用して、自社用にしっかりカスタマイズできるのであれば問題ありませんが、大体のケースで抽象的な内容に終始し、職務内容が不明瞭であることが多いです。

前述の通り、ジョブ・ディスクリプションは従業員とのミスコミュニケーションを防ぐためのツールです。体裁だけ整えても、なかなか効果を発揮しません。

そこで、ジョブ・ディスクリプション作成の際は、職務内容をしっかり明確にすることが重要です。明確化することで、従業員に対して、具体的に何をやれば一番評価されるかが明確になるので、モチベーションとパフォーマンスの向上に繋がります。アメリカでは、日本のようにボンヤリした指示ではなかなか動いてくれません。

また、職務内容を明確化することで、アメリカや採用する地域の給料相場も見えてきます。

給料水準が他社と比べて低すぎると、そもそも応募が来ませんし、来たとしても他の企業へすぐに流れてしまい、なかなか定着しません。

ジョブ・ディスクリプションの業務内容を明確にすることで自社を守ることにも繋がります。
例えば、選考の際に足に障害を抱えている人からの応募が来た際に、ジョブ・ディスクリプション上の内容では適正なのに、選考から外した場合、EEOに基づき差別訴訟されてしまう危険があります。

こういったトラブルを避けるためにも、ジョブ・ディスクリプションに「なぜ足に障害を抱える人がQualificationから外されてしまうのか」を明記しておく必要があります (例: 重い荷物の持ち運びをする必要があるなど)

3. タイトルの変更・職務内容の拡大する場合は、昇給を検討する

特に進出初期は職務内容が予測困難で、ついつい様々な仕事を振ってしまいがちですが、あくまでジョブ・ディスクリプションの範囲を超えないようにしましょう。

現在の職務量を維持したまま、空き時間があれば・・・程度のお願いであれば、ジョブ・ディスクリプションの下の方に、other miscellaneous dutiesと記載することでカバーできることもありますが、例えば、当初はマーケティングの採用だったにも関わらず、営業が主業務になってしまっている場合はジョブ・ディスクリプションの変更と、それに伴う昇給を検討する必要があります。


アメリカでのジョブ・ディスクリプション作成の際は専門家へ相談

本稿ではジョブ・ディスクリプションの概要、メリット、そして記載すべき内容とポイントをご紹介しました。

これまで弊社で進出サポートしてきたアメリカ進出企業のほとんどが、アメリカでの採用に苦戦されています。ジョブ・ディスクリプションはアメリカの採用でとても重要ですので、今回ご紹介したポイントを押さえて採用活動の参考にしてください。

最後に、弊社米国パソナではアメリカで35年にわたり、アメリカ現地の日系企業様の採用活動をサポートしてきました。

アメリカでのジョブ・ディスクリプション、就業規則 (Employee handbook) 、雇用関連書類の作成を行う「人事スタートアップパッケージ」や企業の採用活動を代行する「採用代行サービス(RPO)」、新卒者から専門職種、エグゼクティブまで、バイリンガル、マルチリンガルの優秀な人材を紹介する「人材紹介サービス」、貴社のニーズに合った即戦力人材を、必要な時期に必要な数だけ派遣することができる「人材派遣サービス」などを展開しております。

アメリカの採用に関するケーススタディも豊富にありますので、アメリカでの採用に関して不明な点がある場合は一度、こちらの問い合わせフォームよりお問い合わせ下さい。


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