海外進出101

アメリカ基本情報

アメリカでの採用と保険制度


米国における採用プロセス

米国における採用プロセスは、日本と異なる就業感覚やアメリカ独自のルールに合わせて実施する必要があります。

米国における採用プロセスの流れ

計画・準備

日本の特に新卒採用においては、人材を特定したポジションではなく、総合職として採用し、採用後、詳細な業務内容を決定する傾向にあります。また、中途採用や報酬制度においても「これくらいの経験やスキルであればこれくらいの給与」という考え方に基づき行われます。つまり、日本では「人」を中心に採用や報酬が決定される傾向にあります。一方でアメリカでは「ポジション(職務)」が軸となります。採用においても、報酬制度においても、明確なジョブディスクリプションがあり、仕事が主体となる職務給やポジション別に給与レンジが制度化されているのです。米国で採用を検討する際には、各ポジションの明確化やそれを元とした報酬制度構築が必要である点が日本と大きく異なります。

採用活動をする際、「採用の目的」が重要です。増員なのか?リプレースメントなのか? リプレースメントの場合は、これまでその業務を行ってきた社員の職務内容がそのままジョブディスクリプションとして活かせるので、比較的容易です。その一方で新規ポジション採用の場合、募集するポジションの可視化が鍵を握ります。例えば、現在のチーム構成のなかで、新しく雇う社員が何を担当するのかをはじめ、責任範囲やレポートラインを明確にしたうえで募集することが大事です。


募集

人材採用手段については、下記のような様々な方法があります。それぞれメリット・デメリットがあるため、自社の状況や採用目的などに応じて方法を選択するのをお薦めします。

自社募集

自社の人事部で採用活動を行うケース。この場合、自社で採用プロセスを全て担わないといけないため、時間と手間がかかる。

リファーラル制度

社員が知人を人事部に紹介・推薦する制度で、採用に繋がった場合は報酬が社員に支払われることもあります。企業によっては、技術者獲得のために1万ドルを支払う日系企業もあります。リファーラル制度は信頼性は高いものの、進出して間もない企業には適応しづらい一面もある。

カレッジリクルーティング

優秀な学生を採用するための方法。まずは大学と関係を構築しなければならない。

人材エージェント

地域の人材マーケットや商習慣に精通した人材エージェントを活用することで、自社の時間や手間が省ける利点がある。また、大量に採用する際、募集・選考から採用までを一元委託する(採用代行)ケースもある。


面接

日本の特に新卒採用においては、人材を特定したポジションではなく、総合職として採用し、採用後、詳細な業務内容を決定する傾向にあります。また、中途採募集後には、書類選考、採用と続きますが、特に面接が重要です。アメリカの法律や商習慣をよく知らないために、候補者とトラブルになるケースが多く見受けられます。例えば、アメリカでは、「年齢」「健康状態」「出身地」「性別」「ビザの種類」「性的指向」「人種」「家族」などの質問が法律で禁止されています。EEO (Equal Employment Opportunities)により、採用をはじめ、昇給、昇進、異動、懲戒、解雇など雇用のあらゆる決定において、前述したような項目における差別が禁止されているからです。すべての人事決定は、能力をはじめ、経験、勤務態度及び勤務成績など、正当な職務上の理由によって決定する必要があります。会社の意図ではなかったとしても、相手が不快に感じたり、面接時の質問がEEOで守られている項目を明るみにするような内容ですとトラブルになりやすい傾向があります。人事担当者は、文化や背景が異なることを理解したうえで、アメリカでのあらゆる事例を学び、後日トラブルにならないような質問を準備しておくことをお薦めします。

具体的には、面接における質問のポイントは2つです。「何のために聞くのか?」、「その質問は業務に関連するのか?」です。この2点を念頭に、質問を選ぶことをお薦めします。

日系企業における面接にてトラブルになりやすい質問項目としては、下記の通りです。

  1. 残業に関連して「性別、結婚、家族」について
  2. ビザに関連して「出生地、国籍」について
  3. 母国語に関連して「出身国」について

下記をご参照いただき、表現方法などを変えたうえで質問をしてください。

項目 してはいけない質問 してもよい質問
性別・結婚・家族

応募者の性別をほのめかすような質問。
応募者が結婚しているかどうかを探るような質問。
「子どもは何人いますか?年齢は?」
「子守がいますか?」
妊娠、出産、避妊などに関する質問。
配偶者や親類の名前や住所。

「誰と(両親と)同居していますか?」

応募者が未成年の場合の両親の保証人の名前と住所。
もし親類の雇用に対するカンパニーポリシーがあれば、それの説明。

「時間通りに働くことに支障をきたすような責任を持っていますか?」
出生地・国籍

応募者自身や両親、配偶者などの親類の出生地を尋ねること。
「アメリカ国籍ですか」もしくは親類の国籍を尋ねること。
採用前に応募者の国籍を証明するような書類(グリーンカード、パスポート等)の提出要求。

「採用後アメリカで合法的に働けることを説明できるものを提示できますか?」
出身国

応募者や応募者の両親、配偶者などの出身地を尋ねること。
「母国語はなんですか?」
「家では何語で話しますか?」

「外国語をどのように習いましたか?」

「自由に書いたり、話したりできるのは何語ですか?」

「どの程度使えますか?」(この質問は応募している業務に関係がある時のみ使用可能)

面接後 バックグラウンドチェック

アメリカでは、面接後、採用オファー(内定)を出す予定の候補者に対してバックグラウンドチェックを行う企業が多く見られます。必ず実施する必要はないものの、企業としてバックグラウンドチェックに関するポリシーを持つことを推奨します。例えば、ある採用対象者にはバックグラウンドチェックを実施したにも関わらず、別の対象者には実施しないといった一貫性のない採用活動を行うとトラブルになりかねません。また、チェックを行う場合は、業務に関係がある項目のみが対象となります。そして本人にはチェックする項目を必ず伝えるとともに、バックグラウンドチェック実施の同意書を事前にもらう必要があります。また、公平性を保つために、チェックは第三者機関が行います。


内定から入社まで

採用が決定したら、オファーレターを本人に出します。オファーレターの内容は、企業によって異なりますが、一般的な項目例として下記をご参照ください。そして両者が合意すれば、内定→入社→入社後のオリエンテーションと一連の採用プロセスが完了します。もちろん、入社後には就業規則の提供をはじめ各種雇用に関する書類のやり取りなどが必要です。

オファーレターの内容例
  • 給与額
  • FLSAステータス(ExemptあるいはNon-Exempt) *1
  • 勤務開始、勤務時間
  • タイトル(職位)
  • 福利厚生
  • オファーレターの有効期限
  • At-Will(任意雇用)の表記 *2

*1 FLSA (The Fair Labor Standards Act)
雇用・給与に関する法律で、給与の平等や最低賃金、残業代などに関する規定

*2 At-Will
アメリカで基本となっている「at will」関係により企業と従業員の双方が保護されている。従業員はどのような理由でも、また理由がなくとも自由に企業を辞めることができる。同様に、企業もいかなる理由でも、あるいは理由がない場合でも従業員を解雇できる。


まとめ

アメリカでは、面接後、採用オファー(内定)を出す予定の候補者に対してバックグラウンドチェックを行う企業が多く見られます。必ず実施する必要はないものアメリカでの採用プロセスは、採用に対する根本的な考えの違いをはじめ、ジョブディスクリプション、質問の仕方やバックグラウンドチェックなど、各ステップに日本とは異なる特徴があります。まずは採用プロセス全体の流れを把握し、自社の人事戦略を構築することが大切です。そのうえで、採用過程のなかでどこからどこまでを自社で行い、どこの部分をアウトソーシングするのか?など綿密な計画をたてることで、優秀な人材の採用と安定した事業遂行が可能になります。


アメリカの保険制度

米国での保険は次の2つのタイプに分けられます。それぞれのプランに対し、提供会社と取りまとめをする仲介会社(ブローカー)があり、ブローカーと契約することが一般的です。契約には社員2名以上が必要で、もし1名の場合は個人の保険に加入してもらう必要があります。

「いつから保険を導入するのか?」、また「どのプランでどこまで会社負担とするのか?」を雇用前に予め決定し、採用者に事前通知をするとよいでしょう。

Property Casulity Insurance (損害保険)

  • 労災 (Worker's Comp)
  • 火災 (Property)
  • 賠償責任 (General Liability)
  • 自動車 (Auto)

Health & Life Insurance (健康保険、生命保険)

  • Medical (医療)
  • Dental (歯科)
  • Vision (眼科、視力矯正)
  • Life (生命)
  • Short Term/Long Term Disability (短長期所得保障)

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