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アメリカ中西部エリアでの採用市場について~「2019 年版 中西部・イリノイ州の経済」より

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イリノイ

「2019 年版 中西部・イリノイ州の経済」に、米国パソナ Business Development Dept. Director の河田悠里が寄稿し、在米日系企業の経営課題として、イリノイ州を中心とした中西部エリアでの採用市場について説明させていただいています。同誌は、地元経済状況や各業界の動向をコンパクトに解説した冊子で、年1回発行され、同地域でビジネスに従事されている方、また同地を訪問される方々へのビジネス情報誌として広く活用されています。
下記にその一部をご紹介させていただきますので、ぜひご覧ください。

「2019 年版 中西部・イリノイ州の経済」より

リーマンショック以降、米国での失業率は右肩下がり。2010年1月には9.8%だった失業率も、2019年1月には4%となり、イリノイ州においては4.4%と全米水準よりも若干上回るものの完全雇用の水準となっている。さらにイリノイ州では、2013年以降人口が減少しているため、労働人口獲得の困難さにさらに拍車をかけている。弊社は米国に進出している日系企業を対象に「2019年 在米日系企業における現地社員の給与・福利厚生に関する調査」を実施しており、その調査結果から見える米国での採用傾向を次の通り纏める。

採用動向

2018年に「現地社員を増やした企業」は全体の37.95%。前年では52.98%が「現地社員を増やす予定」と答えていたので、予定通り増員できなかったことが伺える。また2018年に「従業員を減らす予定」と答えた企業が3 . 1 7%だったのに対して、結果的には2 1 . 0 2%の企業が「従業員が減った」と回答があったことから、企業が予想をしていなかった従業員の流出があったと推測できる。なお、2019年には全米の5 2 . 8 9%の日系企業が「増員予定」で、イリノイ州を含む中西部エリアでも59.38%の企業が「増員を予定」しているので、引き続き採用が活発に行われることが予測される。

離職率

2018年の在米日系企業の平均離職率は14%。製造業製造業及び卸売・商社系の企業が人材確保に苦戦しており、機械・メカトロニクス、化学系、卸売・商社系の企業の離職率は20%以上で全体平均を大幅に上回る結果となった。地域別に見た際、イリノイ州含む中西部では11.65%の離職率。増員要員の他に、流出した人員の穴埋めの採用も発生するため、引き続き2019年も日系企業の採用は活発化が必至と思われる。

採用施策のための引越し費用・サイニングボーナスの支給

米国内で多数の製造業企業が拠点を置く中西部や南東部では、人材不足のため、遠隔で採用活動を実施し遠方の候補者を採用する傾向が見られる。中西部の引っ越し費用の平均支給額は$4,123で、全米を見ても地域別にみても支給額に大差はなかったが、企業規模が大きい方が支給率、支給額も高い傾向がうかがえる。また引越し費用だけでなく、支給率は低いものの、採用時にサイニングボーナスを支給する企業数は毎年上昇している。サイニングボーナスは引越し費用と違い、地域により支給額の差があり、中西部においては平均支給額が$5,653。業界別に見ると「保険・その他金融」が支給額が一番高く$30,000という平均支給額だった。

昇給率

2014年以降、日系企業での平均昇給率は3%を超え、2018年実績は3.32%、2019年予測は3.19%だ。中西部においては2018年実績が3.34%、2019年予測が3.03%と、今年の予測は全米平均よりも下回った。各ポジションの平均給与に関しても、売り手市場というマーケットの背景や、また給与だけでなく各種ベネフィットのコスト上昇などからも、人権費が高騰している。

在米日系企業の平均昇給率(全米)

日本人留学生数

日英バイリンガルのエントリー人員を採用し、育成していきたいと考える日系企業も多い。その対象枠のひとつは、日本から留学のため渡米し、卒業後に米国内で就労を希望する日本人留学生だ。日本からアメリカへの日本人留学生は1997年の約47,000人をピークに減少。2017年には約18,000人となった。その背景としては日本の少子高齢化、米国の授業料の高騰、また渡航先の多様化が挙げられる。また近年、就労ビザ取得が困難になっている事から、米国の大学卒業後は米国に残らず、日本で就職先を探す留学生も少なくない。

まとめ

失業率の継続的な低下、離職率の上昇、給与の高騰、また日本人の留学生減少もあり、現在の米国労働市場は日系企業にとっても厳しい売り手市場だ。そんな中、より良い人材を獲得するため、リロケーションサポートやサイニングボーナスなど、候補者に魅力的な施策を打つ企業も増えてきた。ただこのような労働市場はコントロールできない外的要因に左右されることが多々あるため、常にマーケットの変化を見極め、柔軟にかつSpeedyに対応する必要がある。また採用ニーズが発生した際には、その採用は本当に必要なのかを改めて自問されることをお薦めしたい。業務効率化のためのシステム導入や業務委託など、他手段をとることで、安定的な業務遂行を行うこともひとつの選択肢として考慮するべき時代になっている。

執筆:河田悠里 

Director/ Business Development Dept.
Pasona N A, Inc. 

 

本記事内容に関するお問い合わせはこちらまでお願いします→ infonews@pasona.com

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